けんちくしNo.191

みらいホームでは、建築を通じた地域づくりに積極的に取り組んでいます。

このたび、筧 正明代表取締役が青森県建築士会の会報『けんちくし（No.191）』に寄稿いたしました。

2025年1月に島根県松江市で開催された「第33回 全国まちづくり会議」への参加報告と、前年12月に行われた「東北のヘリテージマネージャー活動」に関するシンポジウム報告の2本立てで、青森県内外のまちづくりや歴史的建築物の保全・活用に関する取り組むについて紹介しています。

以下、会報誌に掲載された原文を掲載いたします。

第33回 全国まちづくり会議 in 松江

松江の魅力を活かしたまちづくりを学ぶ

まちづくり委員長　筧 正明

2025年1月31日・2月1日の二日間にわたり、島根県松江市にて「第33回 全国まちづくり会議 in 松江」が開催されました。本会議は、地域の魅力を活かしたまちづくりの実践例を学び、参加者同士の意見交換を通じて新たな視点を得ることを目的としています。

今回の開催地である松江市白潟地区は、歴史的な建物や宍道湖の風景を活かしたまちづくりが進められています。特に、地元の建築士や事業者が主体となり、外部コンサルを入れずにまちづくりを進める「しらかたのまちづくり（しらかつ）」の取り組みはコロナ禍のスタートからまだ2年目、5年以内の実現を目指して様々な妄想を描いています。

1日目｜クロストークと街歩き

地元のコーディネーターや商店経営者、市職員、建築士らによるクロストークが行われ、白潟地区の現状や課題、そして地域の持続的発展に向けた取り組みが紹介されました。その後、歴史的建造物やリノベーションされた建物を巡るまち歩きを実施。松江市初の鉄筋コンクリート建築「出雲ビル」や、古民家を活用した複合施設「つむぎや」、仏具店を改修した「佐草屋」などが注目を集めました。

2日目｜ワールドカフェ形式のワークショップ

「しらかつ　の組織形態」「印象に残った建造物」「今後必要な要素」「地域経済の活性化」「観光客の受け入れ方」の5つのテーマについて、参加者がグループに分かれて議論を深めました。それぞれの視点から持続可能なまちづくりのアイデアが提案され、地域資源の活用方法について活発な意見交換が行われました。

2日間の会議を通じて、地域に根ざしたまちづくりの重要性を再認識するとともに、建築士の関わり方についても多くの示唆を得る機会となりました。建築士が自らまちづくりのプレーヤーになることが、すぐ実現できるまちづくりです。これからは、私もプレーヤーとしてまちづくりに関わりたいです。

次回の第34回 全国まちづくり会議は宮城県で開催します。「東日本大震災から15年後の復興まちづくり」（仮称）をテーマに議論と復興現場見学を予定しています。青森県からも、まちづくりに関心のある建築士の皆様のご参加をお待ちしております。

東北のヘリテージマネージャー活動の新たな展開

ー シンポジウム開催報告 ー

まちづくり委員長　筧 正明

2024年12月7日（土）、仙台市にて「建築遺産を守り育てる市民・技術者・研究者の共創 ～東北のヘリテージマネージャーの対話から～」と題したシンポジウムが開催されました。

本シンポジウムは、日本建築学会東北支部が主催し、東北各県の建築士会および日本建築家協会（JIA）東北支部が共催。東北のヘリテージマネージャーが一体となって活動を進めるための第一歩となる重要な機会となりました。

青森県建築士会からは、三八支部の古戸睦子さんが登壇し、青森県のヘリテージマネージャー制度の歩みを報告しました。

また、建築学会からは八戸工業大学の黒坂貴裕先生が登壇し、全国におけるヘリテージマネージャーの活動状況についての報告がありました。各地での取り組み、行政との関わりに大きな差があります。

本シンポジウムでは、東北全域でのヘリテージマネージャーの連携強化が大きなテーマとなりました。災害時には、被災県だけでは歴史的建造物の保全が難しく、他地域のヘリテージマネージャーとの協力が不可欠です。そのためには、日ごろから各県のヘリテージマネージャーが情報共有し、連携できるネットワークの構築が必要です。

青森県では、21名のヘリテージマネージャー（東北で最小人数）が誕生して5年が経過しましたが、まだまだ建築士会の会員、一般市民そして行政の認知度向上が課題です。今後は、より多くの人にヘリテージマネージャーの役割や活動を理解してもらうための仕組みづくりが求められています。青森県建築士会としても、ヘリテージマネージャーの活動を広く発信し、新規の養成講座の開講に向けた取り組みを進めていきます。建築の保全活用に関心のある方々は、ぜひ今後の活動にご注目ください。