住宅性能表示制度の理解|住まいの品質を見極める

目次

住宅性能表示制度とは?

2000年に施行された住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)に基づく、住宅性能表示制度は、住宅の品質と信頼性を高めるための重要な取り組みです。この制度の目的は、建物の構造や快適性など、目に見えない部分の性能を第三者機関が評価し、数値や等級で表示することにより、住宅の性能を明確にし、購入者にとって理解しやすくすることです。

住宅性能表示制度は、購入者にとっての「安心の物差し」として機能し、手抜き工事や施工ミスの防止にも寄与します。しかし、この制度は特定の基準を必ず満たさなければならないわけではありません。むしろ、住宅が設計図通りに建てられているかをチェックする目的を持ち、必ずしも高性能を求めるわけではないのが特徴です。

第三者機関による客観的な評価の実施

国土交通大臣は、住宅の評価を客観的に実施する第三者機関を「登録住宅性能評価機関」として登録しています。

登録住宅性能評価機関は、評価方法基準に従って住宅の性能評価を行い、その結果を「住宅性能評価書」として交付します。評価を行う人は、建築士等の資格を持ち、評価員としての能力を身につける講習と試験に合格した住まいの専門家です。

住宅性能評価書には、設計図書の段階の評価結果をまとめた「設計住宅性能評価書」と、施工段階と完成段階の検査を経た評価結果をまとめた「建設住宅性能評価書」があります。これにより、住宅の設計から完成までの各段階での性能が客観的に評価されます​​。

第三者機関による客観的な評価の実施
国土交通省:新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド (令和4年11月7日版)

円滑、迅速で、専門的な紛争処理の仕組み

住宅性能表示制度を利用することで、住宅の性能に関するトラブルが起きた場合に、国土交通大臣が指定する専門的な指定住宅紛争処理機関に委託することが可能です。これにより、問題が迅速かつ円滑に解決されることが期待されます​​。*紛争処理申請手数料:1万円 / 件

指定住宅紛争処理機関は、裁判によらず住宅の紛争を円滑・迅速に処理するための機関です。建設住宅性能評価書が交付された住宅の紛争であれば、住宅性能評価書の記載内容だけでなく請負契約・売買契約に関する当事者間のすべての紛争の処理を扱います。

円滑、迅速で、専門的な紛争処理の仕組み
国土交通省:新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド (令和4年11月7日版)

主要な評価基準

住宅性能表示制度では、住宅の品質と安全性を総合的に評価するために、幅広い評価項目が設けられています。この制度における評価は、構造の安定性、火災時の安全性、劣化の軽減など、10分野にわたる32項目に及びます。これには、耐震性、断熱性、省エネルギー性能など、住宅の快適性と持続可能性に直接関わる要素が含まれています。

住宅性能表示制度では、10分野に渡る32項目の評価基準が設けられていますが、すべての項目を評価する必要はありません。実際、この制度では、特定の必須項目だけが要求されています。これにより、住宅の基本的な品質や安全性を保証しつつ、評価プロセスの柔軟性を提供しています。消費者や建築業者にとって、必要な基準のみを満たすことで、効率的かつ実用的な住宅評価を実現することが可能です。

評価プロセスでは、設計段階だけでなく、施工中や完成時にも、合計4回にわたるチェックが行われます。これにより、住宅が計画通りに建設され、各性能基準を適切に満たしているかを確認します。これらの詳細なチェックにより、住宅が長期にわたって安全かつ快適に使用できることを保証します。

以下は、評価基準の10分野と32項目の内容です。必須項目はピンク色で表示しています。

評価基準
構造の安定
地震・災害時の倒壊や損傷のしにくさを等級1~3で評価します。
耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)

地震に対する構造躯体の崩壊、崩壊等のしにくさを等級で表示

耐震等級(構造躯体の損傷防止)

地震に対する構造躯体の損傷の生じにくさを等級で表示

その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)

免震建築物であるか否かを表示

耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)

暴風に対する構造躯体の倒壊、崩壊等及び損傷の生じにくさを等級で表示

耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)

屋根の積雪に対する構造躯体の倒壊、崩壊等及び損傷の生じにくさを等級で表示

地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法

地盤又は杭の耐力及び地盤に見込んでいる耐力の根拠を表示

基礎の構造方法及び形式等

直接基礎の構造及び形式又は杭基礎の杭種、杭径及び杭長を表示

評価基準
火災時の安全
火災時に安全に避難できるか、また外壁や窓がどれくらい火熱に耐えられるかを評価します。
感知警報装置設置等級(自住戸火災時)

評価対象住戸において発生した火災の早期の覚知のしやすさを等級で表示

感知警報装置設置等級(他住戸等火災時)

評価対象住戸の同一階又は直下の階にある他住戸等において発生した火災の早期の覚知のしやすさを等級で表示

避難安全対策(他住戸等火災時・共用廊下)

評価対象住戸の同一階又は直下の階にある他住戸等の火災時における避難のための共用廊下の対策について3項目で表示

脱出対策(火災時)

通常の歩行経路が使用できない場合の緊急的な脱出のための対策を表示

耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部))

延焼のおそれのある部分の開口部に係る火災による火炎を遮る時間の長さを等級で表示

耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部以外))

延焼のおそれのある部分の外壁等(開口部以外)に係る火災による火熱を遮る時間の長さを等級で表示

耐火等級(界壁及び界床)

住戸間の界壁及び界床に係る火災による火熱を遮る時間の長さを等級で表示

評価基準
劣化の軽減
年月が経っても、土台や柱が傷まないようにするための対策がどの程度講じられているかを等級1~3で評価します。
劣化対策等級(構造躯体等)

構造躯体等の大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するため必要な対策の程度を等級で表示

評価基準
維持管理・更新への配慮
給排水管やガス管における点検・清掃・補修のしやすさ等を等級1~3で評価します。
維持管理対策等級(専用配管)

専用の給排水管・給湯管及びガス管の清掃、点検及び補修を容易とするため必要な対策の程度を等級で表示

維持管理対策等級(共用配管)

共用の給排水管・給湯管及びガス管の清掃、点検及び補修を容易とするため必要な対策の程度を等級で表示

更新対策(共用排水管)

共用排水管の更新を容易とするための必要な対策について2項目で表示

更新対策(住戸専用部)

住戸専用部の間取りの変更を容易とするため必要な対策について2項目で表示

評価基準
温熱環境・エネルギー消費量
冷暖房を効率よく行うための断熱性能やエネルギー消費性能をそれぞれ等級で評価します。
断熱等性能等級

外壁、窓等を通しての熱の損失の防止を図るための断熱化等による対策の程度を等級で表示

一次エネルギー消費量等級

一次エネルギー消費量の削減のための対策の程度を等級で表示

評価基準
空気環境
住宅内での健康への影響の原因とされるホルムアルデヒド対策と換気について評価。化学物質濃度の実測も可能です。
ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等)

居室の内装の仕上げ及び天井裏等の下地材等からのホルムアルデヒドの発散量を少なくする対策を等級で表示

換気対策

室内空気中の汚染物質及び湿気を屋外に除去するための必要な換気対策について2項目で表示

室内空気中の化学物質の濃度等

評価対象住戸の空気中の化学物質の濃度及び測定方法を表示

評価基準
光・視環境
東西南北及び上方の5方向について、室内の明るさ (日照や採光) がどの程度確保されているのかを評価します。
単純開口率

居室の外壁又は屋根に設けられた開口部の面積の床面積に対する割合の大きさを表示

方位別開口比

居室の外壁又は屋根に設けられた開口部の面積の各方位毎の比率の大きさを表示

評価基準
音環境
主に共同住宅を対象に、遮音性能を評価します。
重量床衝撃音対策

居室に係る上下階との界床の重量床衝撃音を遮断する対策について、等級または相当スラブ厚を表示

軽量床衝撃音対策

居室に係る上下階との界床の軽量床衝撃音を遮断する対策について、等級または軽量床衝撃音レベル低減量を表示

透過損失等級(界壁)

居室の界壁の構造による空気伝搬音の遮断の程度を等級で表示

透過損失等級(外壁開口部)

居室の外壁に設けられた開口部に方位別に使用するサッシによる空気伝搬音の遮断の程度を等級で表示

評価基準
高齢者等への配慮
手すりの設置や段差の解消など高齢者・障がい者への対策がどの程度講じられているかを等級1~5で評価します。
高齢者等配慮対策等級(専用部分)

住戸内における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度を等級で表示

高齢者等配慮対策等級(共用部分)

共同住宅等の主に建物出入口から住戸の玄関における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度を等級で表示

評価基準
防犯
外から侵入される可能性のある全ての開口部の防止策について防犯上有効な建物部品や雨戸、構造を評価します。
開口部の侵入防止対策

通常想定される侵入行為による外部からの侵入を防止するための対策を講じているか否かを表示

まとめ

住宅性能表示制度のメリットを簡潔にまとめると、以下のようになります。

客観的評価

第三者機関による客観的な評価を通じて、住宅の品質と性能が保証されます。

性能の透明性

構造耐力、省エネルギー性、遮音性などの性能が明確に表示され、消費者が住宅を比較しやすくなります。

品質保証

評価された住宅は契約内容として保証され、品質の信頼性が高まります。

資産価値の向上

性能表示がある住宅は、再販時の資産価値が高く評価される可能性があります。

住宅性能表示制度は、住宅選びの重要な判断基準としてお客様に強くお勧めします。この制度により、住宅の品質と性能が第三者機関によって客観的に評価され、表示されます。これにより、消費者は住宅の安全性、耐久性、省エネ性能などを明確に理解し、賢い選択が可能になります。また、住宅性能表示制度を利用することで、資産価値が高く評価される可能性も高まります。住宅購入は大きな投資です。だからこそ、住宅性能表示制度を活用し、より確かな住まい選びを行うことをお勧めします。

*MIRAI HOMEでは、住宅性能表示制度への申請手続きはオプションになります。

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