安全な住まいを建てるためには、地盤調査が欠かせません。なぜなら、地盤は建物の基礎を支える重要な要素であり、地盤の性質や安定性を評価することは建築の安全性や耐久性に直結するからです。本記事では、地盤調査の重要性や目的、実施方法などについて解説します。
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地盤調査とは?
地盤調査は、建物の土地の地盤(地面)の状態を調べる調査のことです。なぜ必要なのかというと、地盤の状態が建物の安全性や耐久性に関わってくるからです。そのため、地盤は建物の基礎を支える役割を果たすため、地盤の状態を正確に把握することは建物の安全性や耐久性に直結します。
そして、地盤調査では敷地の下にある土の性質や地下水の状態、地震などの影響を調べます。これによって、建物の基礎の設計や地盤改良の必要性を判断し、適切な対策を行います。地盤調査の結果をもとに、建物が地震や地盤の変動に強くなるように計画します。そのため、地盤調査は建物をしっかりと支えるための基礎設計における重要な工程となります。
地盤調査を行うメリット
地盤調査を行うメリットは、以下の4つが挙げられます。
地盤補強の必要性の判断
地盤が不安定であったり、地盤の沈下や浮き上がりが予想される場合、地盤補強が必要となることがあります。そのため、地盤調査によって地盤の特性を評価し、適切な地盤補強方法を選定します。
建物の耐久性の確保
地盤は時間とともに変化する可能性があります。地盤調査によって、建物の耐久性や長寿命化を考慮した設計を行います。
施工コストの削減
地盤調査によって地盤の状態や地下水位などを把握することで、建物の基礎設計や地盤対策を適切に行うことができます。これにより、施工時のリスクや追加工事の発生を減らし、コストの削減につなげることができます。
地震対策
地震は地盤に大きな負荷をかける要因です。地盤調査によって地盤の地震動応答や液状化のリスクを評価し、地震に強い建物を設計することができます。地震動応答は地震時に地盤がどのように振動するかを評価し、建物の振動特性を予測するのに役立ちます。また、地盤液状化のリスク評価では、地震時に地盤が液状化する可能性を判断し、建物の安全性を評価することができます。
総合的に言えば、地盤調査は建築物や構造物の安全性、耐久性、地震への対策、経済的な効率性を確保するために欠かせない作業です。適切な地盤調査をもとに、基礎設計を進めていきます。
スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)
住宅の地盤調査では、基本的にスクリューウエイト貫入試験を採用します。スクリューウエイト貫入試験は、以前はスウェーデンサウンディング試験という名称でしたが、2020年10月の日本産業規格(JIS)の改正により変更になりました。
スクリューウエイト貫入試験は、地盤の強度や地質状況を調べるための試験です。専用の機械を使用して地盤に鋼管(ロッド)を回転させながら貫入させます。貫入中に発生する貫入抵抗やトルクの変化を計測し、地盤の強さや地質を推定します。貫入抵抗が大きければ地盤は固く、小さければ地盤は柔らかいと評価します。
スクリューウエイト貫入試験は比較的迅速に行え、精度が高く、広く使われています。地盤の状態を詳しく把握するために重要な手法です。

地盤の補強が必要になる条件
地盤調査の後、地盤に問題があれば補強工事を行う必要があります。地盤の補強が必要とされる場合は以下のような状況が考えられます。
地盤の強度不足
地盤調査によって地盤の強度が不十分であることが判明した場合、建物の荷重を支えるために地盤を強化する必要があります。地盤補強によって地盤の強度を向上させ、建物の安定性を確保します。
不均質性のある地盤
地盤において、不均質性は、地層や土の性質が場所によって異なることを指します。これによって、建物にかかる荷重や負荷が均等に分散されず、地盤の一部が弱くなったり沈下したりする可能性があります。地盤補強によって地盤を均一化し、建物の安全性や耐久性を確保する必要があります。
地盤の沈下や浮き上がり
地盤の沈下や浮き上がりは、地盤の下にある土や地層の変化によって引き起こされます。地盤の沈下や浮き上がりが懸念される場合、建物に負荷がかかり、建物の傾きや亀裂が生じる可能性があります。
地震と液状化のリスク
地震や地盤液状化は、建物にとって重大なリスクとなることがあります。地震が発生した際、地盤の揺れや地盤液状化によって建物の倒壊や損傷が引き起こされる可能性があります。
これらの状況において、地盤補強は建物の安全性や耐久性を確保するために重要な手段となります。具体的な地盤補強方法は、地盤の性質や状況、経済性に応じて検討します。
地盤補強工事
地盤補強工事とは?
地盤補強工事は、建物や構造物をしっかりと支えるために行う工事です。もし、地盤が弱かったり不安定だったりすると、建物が傾いたり沈んだりする危険性があります。そこで、地盤補強工事では地盤を強くしたり安定させることで、建物を安全に保ちます。
具体的な方法としては、特殊な杭を打ち込んで地盤にしっかりと支持させる「杭工法」、地盤に特殊な材料を注入して強度をあげる「地盤改良」等があります。地盤補強工事は建物の長寿命化や地震や風などの自然災害に対する耐性を高めるために欠かせない工程です。
MIRAI HOMEは杭基礎で補強!
MIRAI HOMEでは、地盤補強工事に杭工法を採用しています。杭基礎は、建物をしっかりと支えるために地中に打ち込む柱のようなものです。これにより、地盤の強度や変動による影響を受けにくく、建物の安定性を高めることができます。また、地震などの自然災害にも強く、長期間にわたって安全に使用できます。

地盤調査の期間
現地で行うスクリューウエイト貫入試験は、半日程度で終わります。地盤調査報告書は、数日かかります。地盤調査は、地中の土壌や地盤の性質を詳細に調査し、安全な建物の基礎設計や地盤改良の必要性を判断するために行われます。

最後に
まとめ
安全な住まいを建てるためには、地盤調査が不可欠です。地盤調査は建物の基礎を支える地盤の状態や安定性を評価し、安全性や耐久性に影響を与えます。スクリューウエイト貫入試験は地盤の強度や地質状況を調べる手法で、建物の基礎設計や地盤改良に活用されます。また、地盤補強が必要な場合もあり、杭基礎などの工法が採用されます。地盤調査は長くても半日で、地盤調査報告書の作成には数日かかることがあります。
次回予告
今回は、住宅の地盤調査の目的とに地盤補強工事についてご紹介しました。地盤調査は、お客様が安全に住まいで暮らす上で欠かせない調査になります。次回は、「地縄張り・遣り方編」について紹介をする予定です。